歌仙「頭上より」
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頭上より普化の鈴鳴る師走かな 雀羅
温糟粥の煮ゆる次の間 和嘉子
著者近影思いのほかによく撮れて 桃
トラックの爺小銭数える すいか
空腹を月に覚えて歩き出す 小波
あきつつんつん群なした土手 柳下
ウ
うそ寒の江口の君の歌碑に佇つ 麦子
スーパースター黒眼鏡かけ 桃
流行のルビーの指輪ネットペイ か
戒めとする蝉の抜殻 嘉
飛ばないと決めた歩みにはたた神 波
古城ホテルの天鵞縅の椅子 桃
難題に狐狗狸さんを呼び出して 羅
お昼ご飯はかけそばがよい 麦
張込みの刑事(でか)に睡魔がしのび寄り 小石
袋小路に並ぶ雪洞 桃
下駄の鈴からから歌ふ花を撒く か
三宝柑は月の落し子 石
ナオ
遍路宿あがり框の姫だるま 安庵
室戸岬の春潮を聴く 羅
キリストの像に捧げる宝貝 柳
元かるわざ師逆立ちを見せ 桃
ママよりもパパの背中でゴリラの子 か
青き星にて生きる同胞 柳
虹渡り宇宙船にて嫁ぎます 波
天道虫が口づけを急く 庵
掃除機はサンバジルバかいやルンバ 桃
ベーカー街に空き部屋が増え 麦
ぴったりと填まるピースは銀の月 嘉
ちゃおの言葉にまるめろの泣く か
ナウ
あるだけの鹿せんべいを放り投げ 桃
陽にながれゆく玉虫を追い 麦
覗きたしアメノウズメの白き肌 庵
神の哄笑山に響もし 桃
里人の囲む大樹も花盛り 波
串にたにしをあぶる焼き味噌 執筆
2018.12.3 起首
2019.1.23 満尾
歌仙「夜目遠目」
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歌仙「夜目遠目」
夜目遠目笠に添へたる月の雨 雀羅 月・秋
誰が袖仄と野菊竜胆 桃
行く秋をワンコニャンコの動画見て 富士
新型AIBO好奇心持ち 和嘉子
窓叩く音は嵐の予感とか 小波
囲炉裏に集ひ寮歌高唱 嘉
ウ
年賀状これで最後とまたも書き 麦子
名残の色をみせる口紅 桃
あかときの枝折戸に梳く乱れ髪 富
硯の水に明日を占う すいか
オッズ出す賭け屋ノーベル平和賞 桃
のめり込むにはそれなりの理由(わけ) 小石
今世紀神の気まぐれ許すのみ かめけん
たしかに見えし南北の虹 羅
夏の野を月の兎は駆け抜ける 波
ドラゴン・クェストオーケストラで 桃
身を解けばこころ自在に花の風 嘉
鞦韆漕ぎて空へ近づく 富
ナオ
ひとしずく春の雪にもブランデー 桃
つひの栖は鄙のその奥 富
捨てられぬ名刺もいつか断捨離に 嘉
蚤の市には髭も鬘も か
縫ひ上げて着て行く当てのなき浴衣 富
嫌いだなんて嘘をつく月 麦
ちっち蝉ふっと黙した初キッス 桃
攫われていく秋のトレモロ か
実石榴を希臘神話の思ひ出に 桃
白い烏は告げ口をする 羅
数々の色を重ねて黒となり 波
兵士となりて守るのは何 麦
ナウ
豆腐屋のラッパしじまに溶けてゆき 石
ご飯よの声今はなつかし 嘉
路地過るまぼろしかしら猫の影 富
蝶ネクタイと伊達のステッキ 桃
長靴の中に花降るボランティア 鈴代
やすみ時間の細螺(きさご)おはじき 執筆
2018.9.27 起首
2018.11.9 満尾
歌仙「八月の」 2018.8.9 起首
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八月の海に還るや首里の夢 雀羅
三線の音の響く秋空 にゃん子
宵闇は竈の種火おこすらん 桃 月・秋
白米よりも雑穀がよく 富士
お仕着せのエクササイズに飽きが来て 和嘉子
鷺の尾羽を拾う休め田 桃
ウ
鉄砲よりペンもて立てる志 田助
文武両道こなすタレント 富
さらさらと塩も砂糖も同じ白 に
どんな色にも染まる喜び 富
神さまはピアフの愛を取り上げて 羅
バーのロートルピアノぽろぽろ 桃
寒月の街に塒を探しをり 富 月・冬
子どもがひとり増えるかまくら 桃
念のため隠しに入れる甘露飴 嘉
どこまで解けた数独の紐 小石
混み合へる上野の山は花三分 富 花・春
昼のぼんぼり強東風にゆれ 嘉
ナオ
来年も戻ってこいと河豚供養 に
ざはつく声にアルファー波出づ 嘉
無視されてカーナビ拗ねているような 桃
山道に沿ひ光る渓流 富
野営にもリュックの中の羽枕 嘉
五臓六腑の疲れ奈翁に 羅
冬至には南瓜蒟蒻小豆粥 桃
スキーに来ればみんなハンサム すいか
有線の間延びしているラブソング 桃
乳をよく出す牛を宝に 羅
ねんころり坊や指さす月のかを か
万聖節に魔女のコスプレ に
ナウ
人込みを二手に分ける藪虱 桃
心弾まず旅をキャンセル 富
ふるさとの瀧に優しきうたのあり 羅
ツリーハウスがやっと完成 石
見送りし父母の名は花吹雪 か
一座の舞に揺るるかげろう 執筆
2018.8.9 起首
2018.9.3 満尾
歌仙「天牛や」
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天牛や新幹線を止める雨 雀羅
甚平のまま乗り移る舟 和嘉子
透かし入りノートブックを文机に 桃
保養所の庭四季を彩り 富士
風に乗り玉兎の駆けて行く小径 小波 月・秋
湧き水で研ぐ郷の新米 富
ウ
冬隣内なる鬼と打ち解けて 羅
小町の歌を懸想文売 桃
あれ以来三日にあげず見る夢は 富
くらげ寄せくる原発の海 羅
シャンパンの泡は細かにたちのぼり 桃
絵筆に浸す淡き桃色 嘉
今ここでローランサンになりたくて 波
ワープの基本五秒息とめ 小石
天窓の真上に月の冴ゆる刻 富 月・冬
猫のかあさん予習復習 桃
よるべなく風に押さるる花筏 富
店のはんこを掏られたる春 羅
ナオ
見返れば踊るひとゐて山笑ふ 波
もうピカチュウの出ない草原 桃
七十路は人生ゲームの途中下車 富
ハシビロコウのようなあいかた にゃん子
大学の研究室を住処とし 桃
同棲時代こわいもの無く 石
傘があるから逢ひに行く夏の雨 波
伝道の書に挟むががんぼ 羅
反省をしながら食べるチョコレート に
億万光年思はれにきび 桃
朝まだき漫画喫茶を出れば月 に
上野の森のもみぢ葉の濃き 羅
ナウ
眉ふとき男が入る菊人形 富
奴で良しと祖父の生き甲斐 波
ユーキャンでマジック講座受けてみる に
酌めども尽きぬ徳利有れかし 石
あかときの大地を染むる花の屑 富
リフティングする姉の春帽 執筆
2018.7.10 起首
2018.8.3 満尾
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歌仙「ポケットの」 2018.6.2 起首
ポケットの中に景色や更衣 雀羅
卯波を蔵うコインロッカー 桃
大陸に版画の行方追ひかけて 小波
丘にのぼれば街の灯が見え 田助
町をあげ歌へ踊れの月の宴 富士 月・秋
背中に眠る児へは秋風 晴
ウ
不受不施の寺の団栗転がり来 にゃん子
百回噛めば満つるしあはせ 麦子
昨日の歯医者の予約思ひ出し 富
心変はりを責めぬ夕風 小石
お隣のフランソワーズはうちのタマ 桃
感謝祭から太り始める 羅
眠らざる街にファミレス冬の月 富 月・冬
若者あまた雪に彷徨ひ 波
高々と角笛鳴らす妖精王 桃
文士劇にもギャラが出ていた 羅
フラッシュの残像の中花吹雪く 和嘉子 花・春
朝市の雲丹啜る熟年 富
ナオ
鐘霞む漫ろ歩きの壱岐の島 鈴代
何決めるにも四柱推命 に
切り開く定めの先にあるものは 富
正露丸を船の暮らしに 羅
ルーチンを守り食する夏料理 嘉
たたかいにある美学忘れじ 羅
相棒は昔馴染みのチューバッカ 桃
元祖本舗と姦しいこと 富
ヴェローナの恋の聖地のバルコニー 波
月の光のほどく巻髪 に 月・秋
内密の逢瀬だからと秋一夜 嘉
ぬぎちらかしてもみぢかつ散る 羅
ナウ
末枯野には思はざる彩潜み 富
バイク便にて届く吉報 代
忘れじのロストフ先制2得点 桃
おはぎと酒とちゃん付けで呼び 富
民集う北の国にも花の木々 柳下
トロッコ列車ついて来る蝶 執筆
2018.6.2 起首
2018.7.7 満尾
歌仙「飛行船」
春風や空を漕ぎ出す飛行船 富士
はなつめくさを敷き詰める丘 雀羅
のどらかにパッチワークの針持ちて 鈴代
もめん豆腐をあられ切りする 小石
初雪を連れてきそうな月の顔 小波 月・冬
煤竹売りに寄って来る犬 桃
ウ
喧騒を逸れし辺りに家を借り 和嘉子
土を友とし風と語らふ 富
雀荘に誘われサボる中国語 可不可
二時間目には食べる弁当 にゃん子
海の付くしこ名をすでに決めていて 羅
いろこの宮へ帰るクリオネ 桃
曼殊沙華沸き立つ赤を寂しとも 富
道行照らす淡き月影 に 月・秋
傷痕を内ふところに秋袷 代
いっぽんどっこ唄うカラオケ 桃
花ふぶくLEDの青色に 嘉
下町工場胡蝶訪れ 羅
ナオ
留守番に問えば小僧は伊勢参 に
宿の雑魚寝にふれる人肌 嘉
山眠りあなたは既に遠い國 波
銃を持たされくらやみに立つ 羅
齢なり平衡感覚乱れたる 富
紙ひこうきの抜ける鐘楼 羅
園児らは月の兎を信じない 麦子 月・秋
好きなおやつは薯のてんぷら 代
赤い羽根つけて非番の消防士 に
スタンダールはイタリアに生き 富
コロラチュラソプラノ消えぬ夢の中 桃
夜の女王たりし灰猫 羅
ナウ
荒野なる冬の扉を開け放つ 波
旅を住処の覚悟新たに 桃
筆太で禁酒と書いたわら半紙 あしび
笑い話のたえぬとまり木 文伸
花火師の闇に一礼花火果つ に
さばち料理に四万十の鮎 執筆
2018.4.13 起首
2018.5.15 満尾
歌仙「我村や」
我村や春降(ふる)雪も二三尺 一茶
雛の使ひの昼くらふささ 雀羅
大干潟人力飛行夢に見て 紅鯨
錠剤の粒床に零るる 可不可
娘の探す巣にゐる筈のハムスター 柳下
迷路の月はひまわりの中 桃 夏・月
ウ
眩しげに薄荷水のむご住職 小石
善財童子の旅も終わりに 麦子
原語にてマルテの手記を読み了える 華美憂
教務課からの急な呼び出し 桃
裏町をちょっとぶらぶらしてただけ 柳
まぶたの母は世間知りすぎ 羅
ハイタッチして舞い降りるコウノトリ 紅
おやつの時は豚のカンカン 桃
曲馬団カーテンコールは三度まで 麦
靴紐解けば秋の夕焼 晴
花灯籠かすかになりて月の舟 柳
わらう露人と猿酒を酌み 羅
ナオ
旅鞄三鬼句集をポケットに 去戸留
スイッチバック二飛び四飛び 桃
雑草と呼ばれし草にある名前 麦子
ゆかしき人に似たる風情よ 小波
引金を引けないままのスナイパー 小石
瓦礫の街を夏のつばくろ 羅
ゆらゆらと夕立の後に動くもの 柳
貿易風の大波に乗り 桃
亡命の積荷を隠す独裁者 波
人形は未だ首を振ってる 羅
元号のいつまであるや十六夜 麦
テニスコートに見初めあふ秋 柳
ナウ
当てのない着信音を待ついとど 富士
玉露一滴しぼり切るとき 桃
起き上り小法師倒れてそのままに 波
めくるページに挟む未来図 富
花と舞うサルサ・マカレナ・チャチャ・ルンバ 龍一
鉢巻きをした仔猫抱くひと 執筆
2018.2.7 起首
2018・4・13 満尾
歌仙「足摺や」 インターネット連句
足摺や師走一日(いっぴ)の空の色 雀羅
貝はまどろむ寒凪の下 柳下
知らぬどち小さき飲み屋の相席に 鞠鈴
手相によれば子供運よし 麦子
走らせて月に翻びたき青インク 紅鯨
文豪こもる萩の古民家 鮎並
ウ
新藁の狼煙にむせる十勇士 小石
牝鹿小牡鹿呼応するかに 鈴
ばったりと井筒に出会う幼どち 麦
袴姿の後追った日も 晴
薙刀を習ふ会津の女学生 華美優
毬果(きゅうか)の下がる樅の木を立て 柳
凍月を借りてスペースフリスビー 石
撮影班に続く残業 羅
西郷どんの猟犬ツンも疲れ果 今日
阿弥陀経読む僧の福耳 鮎
ゆうぐれの琵琶の音花の雨さそい 晴
スーパースター春の岬に 日
ナオ
まなうらに降りてこぬ凧鳴り続け 羅
草餅つくる父の命日 柳
あの世などないと信じている一家 麦
爆弾本にボスが詰め寄る 日
熱戦中タイムと髪を撫付けて 石
ニッカボッカは風に膨らみ 紅
どやどやと来て生ビール一気飲み 可不可
稼ぎの悪い猿はつながれ 羅
舞ひやまぬ鶴の親子を見上げつつ 日
お屋敷町を染めるもみぢ葉 紅
狩野家の夢に透けゆく昼の月 羅
水指に飼う蟋蟀の声 晴
ナウ
宇宙船降りくる彼はダンディに 麦
蝶ネクタイを少しゆるめて 石
白骨の入浴剤を愛づる日々 晴
記憶の底の雪が解けだし 助
牧水の歌碑斜交いに花の翳 健
よもぎ摘みつつ謡う巫(かんなぎ) 執筆
2017.12.1 起首
2018.1.30 満尾
世吉「笹舟に」
笹舟に乗せゆく酒(ささ)や小鳥来る 雀羅
秋の灯点る老舗割烹 鮎並
月白の墨に膠を含ませて 紅鯨 月・秋
初心者ゆえの芸の細かさ 麦子
夫らはケーキ作りに挑戦し 絵(かい)
長寿の家系百歳の笑み りえ
掛軸のくだかけの尾の垂れさがり 鮎
浦風に知るけふのつゆ明け 羅
ウ
もてなしのグリーンサラダにパセリ摘む 紅
客は未来の舅姑 え
てのひらに波濤図愛づる山の寺 麻里
妖怪絵巻夢に魘(うな)され 今日
伏せている二人の中のすきま風 絵
水に流るるオフィリアの帯 紅
満ち満ちてまぶしき月の今いくつ 小石 月・秋
悩みの底に落ちるかなかな 百花
秋空へ組体操の立ち上がり 鮎
擦り傷なんかツバで治るよ 鞠鈴
あっけらかん大正昭和生き抜いて いばら
雨降らぬ日もゴム長を召し 紅
漕ぎながら落花をうける掌(たなごころ) 日 花・春
木橋の杭に掛かる切れ凧 鈴
ナオ
うらうらと春暮れてゆく大工町 田助
丸いポストに葉っぱ投函 麦
いつまでも母の御筆を待ち焦がれ 日
船首のフィギュア琴を抱いて 紅
伝説を神話にかへて日の名残り 小
ひきこもりにも取材依頼が 羅
捨てられぬ犬の匂いのする毛布 麦
小屋から坊やコタツから小火(ぼや) 鮎
どてら着て高等遊民気取る爺 鈴
網手袋の女近づく 晴
ひたひたと満月目指す蟻の道 太郎
しのび笑いは苔の羅漢か 小
木枯しにお百度踏んでいる素足 晴
母は子を思(も)い子は母を恋い 麦
ナウ
真夜中の真綿に湿す除光液 健
深き海より揚がる仏像 麦
メモワール港の見える丘に佇ち 紅
テラスを過ぎるてふてふの影 晴
可笑しさと哀しさ南都雄二の死 遊人
棒鱈炊いて昼の独酌 助
いつしかに花を敷寝の高鼾 日
つり下げて干す筆にやわ東風 執筆
2017.9.15 起首
2017.10.28 満尾